自己満足妄想SS~。企画物最終話(笑)
苦手な方はご注意ください!
「なんだコレ…」
事務所の扉を開けたサクラは思わず呟いた。
act.5 all
ドアを開けた瞬間、目に入ったのは点々とした足跡。
何で描かれているのかは解らないが所々消えているあたり、誰かがイタズラで描いたのだろう。
「…にしても、なんでだ?」
独り言でしかないのだが、思わず口をつく。
ココの事務所は誰がこんな事をしてもおかしくはない。
「誰が」やったのは今更愚問。
問題となるのは行動原因。
「何のために」やったのかということ。
点々と続く足跡はどうやら角で曲がっているらしい。
導かれるように辿っていった。
そして、サクラ自身はとある一室の前へ。
「会議室…?だよな?」
そう。
足跡はサクラを会議室まで導いた。
本来ならば、静かである筈の会議室。
……騒がしい。
思いっきり騒がしい。
薄い壁を突き抜けて、声が鼓膜を振るわせる。
「何やってんだ?」
手を伸ばしてドアノブをひねろうとしたその時。
ガチャッ!!
ドアが勢い良く開け放たれた。
「~~~~ってぇ!!!」
扉は外開き。
サクラの額にクリティカルヒットを与えた。
「あ。サクラや~vvいらっしゃ~い」
妙に間延びした高い声。
「ケンちゃん!」
顔をあげるとにっこり顔のケンが居た。
「テツゥ!サクラ来たで!サクラ!!」
部屋の奥に居るらしいテツに声をかける。
奥からは「サクラもひっかかったー!!」ときゃあきゃあした声が聞こえる。
「…何やってんの?」
痛む額を押さえて、サクラは聴いた。
「え?無差別飲み会~」
ふにゃりとした笑顔。
近付けば酒臭い。
「一名様、ご招待~」
有無を言わさない力がサクラの腕を引っ張る。
「ケンちゃん、痛いって!」
酔っ払いは加減を知らない。
ぐいぐい引っ張ってサクラを部屋の中に押し込み、ケンは部屋を出て行った。
「痛いな、もう…」
解放された腕を擦りながら、部屋を見渡す。
歌を歌う者。
泣きながら酒を呷る者。
床に転がされて爆睡している者。
「ホントに無差別かよ…」
そこには年齢も経験も職業も何も関係ない。
ただ、みんなで騒いでいる。
「サクラー」
呼ばれて行った先には、真っ赤な顔をしたテツがいた。
「おーおー。できあがってンな」
側には空のビール瓶や焼酎瓶が転がっていた。
「えー。まだまだいけるでぇ!それよりサクラ!飲めっ!」
ピシッと指をさして厳しい顔をする。
が、それも一瞬で笑顔に変わる。
「…なんてな。楽しんでいってな~。あ、ハイドは向こうにおるで」
ヒラリと手を振る。
酔っているのか、いないのか。
全くわからない状態だ。
「おー。サンキュ」
真似てヒラリと手を振り、指された方向へ。
背中で再びきゃあきゃあと笑い声が聞こえた。
「ハイドー…っと」
人を掻き分け絡まれ移動していく。
部屋の隅っこで最近入ったばかりの後輩が肩身狭く立っているのが見えたが、あえて無視。
更に掻き分けて行くと、ソファに転がっているハイドが見えた。
「つぶれてる…」
くてっと横たわった体。
真っ赤な顔のままくうくうと寝息を立てている。
「水もってきたよー…って、あれ?」
背後から声がして、サクラは振り向いた。
「ユキヒロさん」
「あー。ひさしぶりだね」
「お久しぶりです」
軽く頭を下げて、お互いににっこり。
酒の飲めないユキヒロは、唯一素面を保っているようだ。
「もしかして、ハイドくんねちゃってる??」
サクラの後ろをチラリと見て、尋ねる。
「みたいですね」
そっかーと小さく呟いて、手の中の紙コップを見遣る。
少し考えて何かを納得したらしく、そのコップをテーブルの上に置いた。
「…凄い事になってますね」
周りを見渡してから、サクラが言った。
「でしょ?すごいよね。ほんとに無差別なの」
喉の奥で笑った。
サクラはゆるやかに煙草を銜える指先が赤くなっている事に気が付いた。
「それ、ハイドですか?」
聴くと。
「そうそう。がじがじ~ってかまれちゃってさ」
齧られたというのに、楽しそうに笑う。
今日は本当に何もかもが無礼講なのだとサクラは理解した。
「…楽しそうですね」
くつくつと笑う。
「たのしいよ。おれは飲めないけどね」
揺すったコップの中にはお馴染みのコーラが入っているのだろう。
マトモに会話できる人間が居るだけで、こんなに和むのは気のせいではないだろう。
おまけに、気心知れた先輩。
和まない筈が無い。
…が、そんな雰囲気も束の間の出来事だった。
「やっちゃんー???」
いつの間にか目覚めたハイドがサクラの背中に重くのしかかってきた。
「いつの間に来たん?」
「今だよ」
答えながら、腕は酒臭いハイドに掴まれ遊ばれている。
「飲んだんー??ちゃぁんと飲まなあかんよーぅ??」
元よりのんびりとした話し方が、輪をかけてのんびりとなっていた。
掴まれた腕がふらりふらり。
緩々と揺らされている。
「やっちゃんはぁ、今はそうじゃなくても、ラルクの大切な欠片やねんから~」
サクラの指先がピクリと引き攣った。
けれど、それは誰にも気付かれなかったようだ。
ハイドは続ける。
「しかも、結構でかいんやで?もー、これは誰かに自慢せんとあかんねぇ」
えへへと笑いながら話すハイドが急に重くのしかかった。
「ぉわっ!!」
慌てて足に力を入れたおかげで、共倒れにならずにすんだ。
「あー。はいどくん、またねちゃったねぇ」
コーラを飲んでいたユキヒロが笑った。
「ユキヒロさん~。助けてください」
倒れなかったとはいえ、不自然なままの姿勢に助けを求めた。
「はいはい。……よいしょ」
軽々とハイドを再びソファに戻し、ユキヒロはサクラを振り返った。
「とりあえず、サクラも楽しんでいきなよ。ね?」
そう云ってユキヒロは壁の一角を指差した。
そこには「15周年おめでとう」の文字が。
サクラの中で漸く合点がいった。
このメンバーならやりかねない飲み会。
事務所を巻き込んで無差別だなんて、なんとも彼ららしい。
「はいどくんか言うように、サクラもラルクの欠片なんだからね」
その一人であるユキヒロが笑う。
その時、部屋に戻ってきたらしいケンの声が聞こえた。
「あ。けんちゃんがよんでるよ。行ってくれば?」
ユキヒロの言葉に背中を押される感じでサクラは声のする方向に歩き出した。
『ラルクの大切な欠片やねんから~』
頭の中でハイドの声がぐるぐる回る。
最悪の形で欠片であることをやめた自分に「欠片」と言ってくれる。
「…ったく、これだから酔っ払いは性質が悪ぃンだよ」
小さく悪態をつきながら、サクラは嬉しくて顔がにやけるのを止められなかった。
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サクラ書きづら…ッ!!!!!!(笑)
書き出してから思ったけど、sakuraさんとyukihiroさんで会話してるところが想像できない!
敬語なんかな…?違う可能性高いww
長らくお待たせしてしまいました。
漸く最終話でした。
漸く最終話でした(なんで二回言うねん)
えらい長い間が開いてしまいました。待っててくださった方、申し訳ないです(^_^;)ゞ
待たせた上に長くて解りづらい…!!
ど、どうか見捨てないで…(つд<。)